5月19日に筑波山の北側を歩いて来た。この日、つくば市の10時の気温は27.3℃(最高気温は30.0℃)で、歩き出す前から暑かった。登山道ですれ違った人からも「暑い」という声が聞こえていた。この日はゆっくり歩くことにして、10時30分にキャンプ場を出発した。首に濡れた手ぬぐいを掛けて暑さをしのいだが、午前中は風がなくて閉口した。(地図や写真はクリックすると大きくなります。)

この日は植物観察が主目的だったので、観察した植物を中心にご覧いただきたい。
登山口付近ではハルジオンに交じって、ハナニガナが咲いていた。
・ハナニガナ(花苦菜、Ixeris dentata var. albiflora f. amplifolia、キク科ニガナ属の多年草)
頭花は舌状花だけで構成されており、ニガナの小花が5個であるのに対し、7~11個程度ある。

登山道は緩やかな傾斜が続き歩きやすい。スギ林の林縁で、ツクバネソウが木漏れ日を受けて鮮やかだった。

・ツクバネソウ(衝羽根草、Paris tetraphylla、シュロソウ科ツクバネソウ属の多年草)

標高を上げていくとミヤマシキミが緑色の実を付けていた。
・ミヤマシキミ(深山樒、Skimmia japonica、ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木)

ヤマツツジを複数見たが、ほとんどが花の盛期を過ぎていた。数少ない見頃の花を付けていた樹を撮影した。
・ヤマツツジ(山躑躅、Rhododendron kaempferi var. kaempferi、ツツジ科ツツジ属の半落葉低木)

ツクバネウツギも観ることができた。スイカズラ科のこの植物は、筑波山の北側の登山道でよく見かける。
・ツクバネウツギ(衝羽根空木、Abelia spathulata、スイカズラ科ツクバネウツギ属の落葉低木)

林縁にエンレイソウらしき植物を観た。今ごろまだ咲いているのだろうか?
・エンレイソウ(延齢草、Trillium smallii、シュロソウ科エンレイソウ属の多年草)

さらにはユキザサがまだ咲き残っていた。
・ユキザサ(雪笹、Maianthemum japonicum、、キジカクシ科マイヅルソウ属の多年草)

標高800m付近で腰を下ろすのにちょうど良い岩があったので、そこで昼食を摂った。近くにチゴユリが群生していた。
・チゴユリ(稚児百合、Disporum smilacinum、イヌサフラン科チゴユリ属の多年草)

女体山の手前で小さなスミレを観た。筑波山でよく見られるスミレとして、タチツボスミレ、エイザンスミレ、フモトスミレ、ナガバノスミレサイシン、ヒナスミレがあるようだが、どれとも違うように思えた。
・スミレの仲間

12時05分に女体山の山頂に着いた。山頂に立ったが、遠くは見えなかった。

御幸ヶ原へ下る途中でシソ科の鮮やかな群落を観た。以前にも観ていたが名前を思い出せなかった。帰宅後ヒイラギソウだと分かった。
・ヒイラギソウ(柊草、Ajuga incisa、シソ科キランソウ属の多年草)

御幸ヶ原のトイレで首に掛ける手ぬぐいを濡らし、男体山へ向かった。茶屋の裏手に鮮やかなツツジが咲いていた。恐らく園芸種を植栽したものだろうと思った。

男体山に12時48分に着いた。お参りをして自然研究路に向かって下山した。

当初の予定では自然研究路を一周するつもりだったが、長らく通行止めとなっていた立身石へのルートが通れたので、そちらへ向かった。誰も来ていなかったので、岩陰の涼しい所でコーヒーを淹れて休んだ。近くで白いスミレを再び観た。

御幸ヶ原へ戻り、男女川(みなのがわ)の源流にある紫峰杉(しほうすぎ)を観に行った。推定樹齢は約800年。幹周り約7m、高さ約40mの巨大スギは迫力満点であった。何より800年の樹齢にして、今も若々しいのが素晴しかった。筑波山に登られる方は、是非このスギを観に行って欲しいと思う。御幸ヶ原からは1分で行ける。

御幸ヶ原から紫峰杉が生える男女川源流に降りる途中に、推定樹齢数百年の巨大ブナもあるので、これも見逃せない。胸高直径125.6cm、高さは25~30mとのことである。

御幸ヶ原に戻り、深峰歩道(みかみねほどう)を通って下山した。このコースは筑波山の登山道の中で、もっとも簡単に登れてつまらないコースだ。道の半分はコンクリートで舗装されている。しかし道脇の植物は豊富だ。
ヤマブキソウが咲いていた。
・ヤマブキソウ(山吹草、Hylomecon japonica、ケシ科ヤマブキソウ属の多年草)

ヤマエンゴサクも観られた。
・ヤマエンゴサク(山延胡索、Corydalis lineariloba、ケシ科キケマン属の多年草)

ニリンソウの残花を観ることができた。

今朝登り始めてから、あちこちでつぼみが観られたコゴメウツギが、ここでは花開いていた。
・コゴメウツギ(小米空木、Stephanandra incisa、バラ科コゴメウツギ属の落葉低木)

こちらのバラ科の花は、花径が3cmで花の数は少なかった。モリイバラだとすると茨城県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている貴重な植物だ。ちなみに茨城県の県の花はバラである。
・モリイバラ(森茨、Rosa onoei var. hakonensis、バラ科バラ属の落葉低木)

ツクバネウツギもたくさん咲いていた。
こちらは花序の形を観るとフタリシズカのように見えるが、花序は1本だけだった。GoogleのAIの情報では、花序が1本のフタリシズカは珍しくないとのことだった。
・フタリシズカ(二人静、Chloranthus serratus、センリョウ科チャラン属の多年草)

標高800m付近で観たスミレと同じものを何度か見かけた。


ヤマエンゴサクやナルコユリの仲間(ミヤマナルコユリ?)も何度か見かけた。

最後は林道を歩いてクルマを駐めておいた出発点に戻った。途中コゴメウツギが満開で咲いていたし、ハコネウツギらしき花も観ることができた。

この日は4時間あまりを掛けて5.9kmを歩いた。累積標高差は540mで、暑い日のハイキングとしてはちょうど良かった。次回は涼しげな山に出かけよう。
暑さを避け筑波山の北側をハイキング(完)